血清点眼液

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こんにちは

栗東も空の色が深い青色になってきました。そろそろ秋が来た言っても良いでしょうか。

写真の空に浮かんでいる雲は「巻雲」と言って、雲の中では一番高高度で作られるそうです。空も夏のモクモクとした雲から秋の雲へと変化しているようです。

 

 

せっかく過ごしやすい季節になったというのに、なぜか眼をケガする馬が連続で数頭。重なる時は重なるものの様です。

 

その中で、角膜の損傷が大きい馬に血清点眼液を投与することになりました。

血清点眼液は、名前の通り、馬の血液から血清を分離して作られます。
血清にはフィブロネクチンやインターロイキン-6などが含まれており、角膜のこれ以上の損傷を防ぎ、治癒を早める効果が期待されます。

 

今回は、ドマーニ先生に血を分けてもらいました。

一見すると、必要以上に採血したのではないか、と思います。しかしながら、実際に血液を静置、遠心分離して採取できた血清は1本の試験管(約7ml)から、これくらい。

思った以上に血球成分とフィブリン塊が存在するため、分離される血清は少なかったです。

 

この血清を抗菌点眼薬で希釈して使用します。
出来上がりはこんな感じ。

 

この点眼液は、血液を使用しているため、雑菌が繁殖しやすく長期保存ができないのが難点となりますが、取り扱いに注意すれば効果が期待できると思われます。

 

ところでこの時季のメイちゃんはというと、昼前の放牧にむけて朝は体力を温存中?

 

 

Yk

輸送熱について

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秋の訪れを感じ、少し肌寒い季節になってきました。

今回は輸送熱について記載していきます。

競走馬において、輸送はレースに出走することや牧場へ放牧する際の手段として用いられます。

輸送が馬に与える影響は小さいものではありません。

馬によっては輸送熱という疾病を発症し、

原因は輸送のストレスによる免疫の低下が挙げられます。

また、他の原因としては輸送環境の悪化が挙げられ、ボロや敷き藁を適切に処理することは重要であり、休憩を4時間おきに入れることは予防の1つと言えます。

治療としては、原因細菌(主要原因菌:レンサ球菌 )の除去が必要です。


https://ja.wikipedia.org/wiki/レンサ球菌より

そのため、レンサ球菌に効果があるとされるセファロチンナトリウム(商品名:コアキシン)の静脈内投与が挙げられます。

炎症マーカーであるSAAを測定しながら、細菌感染を早めに治療していくことが大切です。

輸送熱は日和見感染(健康時には害のないような弱い細菌や真菌、ウイルスなどにより感染し、症状がでること。)が原因のため、

適切な予防を実施し、競走馬に出来るだけ早く活躍して欲しいと考えています!!

話は変わりますが、2021年10月18日〜19日にオータムセールが開催されます。

弊社は獣医検査を実施しておりますので、是非是非お問い合わせくださいませ。

それではまた次回に。

K

種子骨靭帯炎

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種子骨靭帯炎という疾病があります。
 
 
浅屈腱炎ほど大きな話題にならず、それほど症例数も多くはない印象ですが、それでもたまに見かけます。
 
馬に限らず肢はとても複雑な構造をしています。炎症のよくみられる「斜種子骨靭帯」と「直種子骨靭帯」は、この部分です。
 

 
(Color Atlas of Veterinary Anatomy volume 2 The Horse/Raymond R.Ashdown & Stanley H.Done ※一部修正(赤枠を挿入))
 
 
どちらも近位種子骨に始まり、それぞれ第一指骨、第二指骨に終止します。
 
 
これが炎症を起こすと、繋が腫脹し、熱感や圧痛を引き起こします。程度によっては跛行もみられます。
 
 
 
今回、おそらく種子骨靭帯炎だろう、ということでエコー検査を依頼されました。
 

 
直種子骨靭帯に炎症がみられます。
 
この馬は出走後に繋に腫脹や圧痛がみられ、しばらく調整していましたが、今回休養のため放牧に出されました。
 
発症時期などはっきりせず、検査時に繋には熱感・腫脹・圧痛がみられました。跛行はみられません。
 
そのためしばらくはパドック放牧→ウォーキングマシンなどの軽めの運動から、数か月のリハビリを行うことになると思われます。
 
 
 
ちなみに、同じ繋の腫脹でも、
 

 
こちらは浅屈腱周囲の、腱鞘液の増量が原因です。
 
腱鞘の内部に、フィブリンが増生しているのが分かります。
 
こちらは圧痛など無く、跛行もしていません。詳細は不明ですが、かなり前から腫脹はしているとのこと。
 
そのため休養などはせず、様子を見ながら調教し、レースに出走していくことになります。
 
 
 
このように、外から見て同じ部分が腫脹していても、病変部位や原因は多岐にわたります。
 
あまり見ることのない症例でも、正確な触診・検査ができるよう、注意をして診療していきます。
 
 
 
N

セプテンバーセール

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今週の9月21日と9月22日に、

セプテンバーセールが開催されました。

 

 

 

セプテンバーセールは2019年度に新設された、

サラブレッド1歳市場で、

今年で3回目の開催でした。

 

今回のセリでは、

シルバーステート産駒が人気な様子でした。

市場取引馬の今後の活躍に注目ですね!

 

 

カワタ エクワイン プラクティスでは、セリ会場にて

レポジトリーの評価 および 馬体チェックによる “獣医検査”を実施しています。

 

馬体チェックでは、

4方向から馬体をみて、常歩で歩くところまでをみています。

 

今回は私にとって3回目のセリ業務でした。

 

限られた時間で馬をみて、

情報を得るのは難しいですが、

色々な馬を見て勉強しているうちに、

気づくことが増えてきました。

 

 

 

北海道は朝晩と冷える時期になってきました。

みなさんも体調に気をつけて、お過ごしください。

 

 

 

UR

 

 

篩骨血腫について

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競走馬でみられる鼻血について、

以前 最も一般的な運動誘発性肺出血のお話をしましたが、

今日は別の一因、篩骨血腫についてのお話です。

 

 

ある時「馬房内で鼻血でてたんだけど、まあどこかにぶつけたのかな。」と相談を受けました。

 

その馬は中央から地方に転厩するタイミングで、

調教はお休みして休養していた、8歳のサラ牡馬でした。

 

念のため内視鏡検査をすると、鼻腔内にこのようなものを発見、

他の部分も確認しましたが他に異常は見られず、ここから出血しているようです。

 

その後経過を追っていくと、

鼻出血を再発したり、

少し時間をおいて内視鏡で見ても同じ場所に同じような組織ができていたりして、

最終的に篩骨血腫と診断をしました。

 

篩骨血腫とは、鼻腔や副鼻腔にできる非腫瘍性の血腫です。

 

性差は無い、もしくはホルモンの影響があるのかやや 牡の方が多いとされ、

また若齢の馬でもみられるものの一般的には年齢が高い馬で多くみられます。

 

発生のメカニズムとしては、

鼻甲介内の粘膜下層で繰り返し出血がおきることで、

周辺の軟部組織や骨が壊されていって、徐々に血腫が大きくなっていきます。

 

そのため、片側の鼻腔内だけで収まることもあれば、

前頭洞や上顎洞、反対側の鼻腔に広がっていくこともあります。

 

一般的な症状は、断続的に片側性におこる中程度の鼻出血です。

 

他に、異常な呼吸音が発生するケース、両側性に鼻出血が見られるケース、

また血腫が骨にまで広がっている場合は、顔の一部が腫れる、頭を振る、発咳、流涎など様々な症状がみられることもあるそうです。

 

診断は、臨床症状や病歴と合わせて、内視鏡検査が用いられます。

 

黄緑色や赤紫色の腫瘤として観察されることが多いです。

 

内視鏡検査で見える腫瘤は一部で、反対側まで広がっていることもあるため、

片側性の鼻出血であっても反対側の鼻腔もチェックした方が良いとされます。

 

またX線検査を併用するのも有効です。

 

 

競馬場ではレースで鼻出血が確認されると、

一定期間レースに出ることが出来ない規則があります。

 

篩骨血腫では繰り返し鼻出血がおきるため、

そういった意味でも、やはり治療が必要になってきます。

 

外科的に切除したりレーザーを用いた治療法もあるそうですが、

現場で行う方法として一般的なのが、ホルマリン注入です。

 

立位・鎮静下で、内視鏡を用いて、

大体2-4週間間隔でホルマリン注入を行ないます。

 

写真は、投薬カテーテルを用いてホルマリン注入を行なっているところです。

 

繰り返し治療することによって腫瘤が小さくなっていく効果が期待できますが、

特に病変が広範囲に広がっているケースではホルマリン注入によるリスクがあったり、

治療後も再発もが起こり得ることは、認識しておく必要があります。

 

冒頭で出てきた相談を受けた馬は、一度ホルマリン注入したのですが、

直後に移動してしまい、継続治療は出来なかったのですが、

結局一度地方のレースで走って、そのまま引退となったようでした。

 

実際の現場では、内視鏡検査をしないで

現場で簡単に鼻出血の判断がされている場面に遭遇することが良くあるのですが、

やはり色々な可能性を考えて個々で丁寧に対応して行く必要があると思います。

 

 

S

 

実習に行って来ました

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こんにちは

写真は栗東で早期米を収穫した後の田んぼです。

そろそろ秋が来る、と思いきや

栗東は、雨、雨・・今は梅雨だったっけ?

と思うほどの雨と高温多湿に、人も馬も体調管理が大変です。

 

さて、私は先日 山口大学で実施された

「馬救急医療実践力育成プログラム」のHands-on臨床実習に参加しました。

 

この山口大学で開講されているプログラムには、10人の獣医師が参加していますが、

今回はコロナの影響で、現地に参加された獣医師は私を含めて3人、

他の先生方はオンラインでの参加となりました。

 

同時に日本各地の獣医系大学から5人の学生も参加し、普段の生活にはない雰囲気での実習となりました。

 

ところで、実習が行われた山口大学キャンパスへの最寄り駅は「湯田温泉駅」です。

 

 

白狐伝説のある温泉のようで、駅には上の写真のような白狐の像があり、

町中には足湯や下の写真のようなポストが設置されていました。

 

 

 

 

 

さて実習はというと、学生さんが参加されていることもあり、馬の触診といった基本的なことから教えていただきました。

 

 

 

こんな感じです。前肢の浅屈腱を触診しています。今回はドマーニ先生に協力していただきました。

 

 

また、様々な場所で活躍されていらっしゃる先生方も講師として参加してくださいました。

ただコロナの影響で、先生方が山口に来られず、直接お話が出来なかった点がちょっと残念。

それでも、先生方に様々な角度から馬の診療についてわかりやすく教えていただきました。

 

今回の実習で、実習に参加された先生方は本当に馬が好きで、

ちょっとでもチャンスがあれば馬に関わりたい、将来は馬の診療に軸足を置きたい、という熱意がヒシヒシと伝わりました。

 

学生さんは、やる気に満ち溢れていてまぶしかったです。

 

今回出会った講師の先生方や受講された先生方とは、何かご縁を感じており、

どこかでまたお会いできると思っております。

 

その時はどうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

YK