鼻出血(運動誘発性肺出血)について

鼻出血(運動誘発性肺出血)について

診療をしていると「先生、うちの馬が鼻血吹いた!」

という連絡は 結構よくもらいます。

 

鼻血

 

色々なケースがありますが、

特に育成馬・競走馬が 調教やレース後に鼻出血を起こした場合に多いのが

「運動誘発性肺出血」といわれる疾患です。

 

原因や病態は 完全には解明されていないのですが、簡単に言うと、

「激しい運動によって 肺の毛細血管が破れて出血する」というものです。

 

内視鏡検査で 気管内に肺からの出血が存在していることを確認し、

二次感染の予防や 出血に対する処置を行います。

 

気管内の出血

ただし 発生の病態や ドーピングの問題等もあって、

日本では薬を使って治療や予防すると言うよりも、

休養やサプリの投与で対応することが多いです。

 

また 日本では レースで 運動誘発性肺出血を発症した場合、

「1回目は1ヶ月間、2回目2ヶ月間、3回目以降は3ヶ月間 出走停止」

という規定があるそうです(中央競馬・地方競馬とも)。

 

これを長いと捉えるか・短いと捉えるか 人によって様々だと思いますが、

こういった対応は 国によって異なっていて、

オーストラリアなどでは「2回目以降は永久に出走禁止」

という厳しい対応をしている国もあります。

 

鼻血の量が少なかったり 鼻血が止まれば、

「大丈夫!」「もう治った!」と思ってしまいがちです。

 

しかし、そもそも私達人間の一般的な鼻血は発生の病態が違います。

(人間の場合、一般的に鼻の粘膜からの出血が多いそうです。)

 

馬の運動誘発性肺出血では

出血によって肺組織は少なからずダメージを受けている

と言う点を、認識しておいていただきたいと思います。

 

さらに 鼻血の原因は 他にもたくさんあって、

場合によっては 特別な治療が必要になるケースもあります。

鼻出血の例

ですから 鼻血が出たら、

肺からの出血量 や 出血の原因は他にないのかなど

まずは内視鏡検査で確認することが 非常に大事です。

 

気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

 

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