第4鰓弓欠損

第4鰓弓欠損

こんにちは!

 

北海道も暑くなってきました。

 

今回は北海道から喉の病気を紹介します!

 

 

競走馬に運動不耐性を引き起こす咽喉頭部構造異常の原因として、

第4鰓弓欠損(4BAD: 4th Branchial arch defects)というものがあります。

 

第4鰓弓は発生学的に後頭部の筋肉や軟骨組織の基となる部位です。

 

それら組織の両側性または片側性の異常発生を第4鰓弓欠損といいます。

 

第4鰓弓欠損により、口蓋咽頭弓の吻側変位などの構造異常が起こり、

その結果、喉頭の構造非対称や披裂軟骨の可動性低下を引き起こすことがあります。

 

 

左が正常な馬の喉頭で、右が第4鰓弓欠損により

口蓋咽頭弓吻側変位(矢印)が起きた馬の喉頭です。

 

右の画像では口蓋咽頭弓吻側変位により、

披裂軟骨の可動性が低下していることが確認できます。

 

(Clinical Anatomy of the Horse, 1st Edition, 2005)

 

解剖学の本で確認すると、

正常な馬では披裂軟骨(4)の尾側に口蓋咽頭弓(5)がみられます。

 

第4鰓弓欠損では、喉頭部の筋肉や軟骨組織の発生異常が起こり、

その結果口蓋咽頭弓が吻側へ変位します。

 

 

 

披裂軟骨小角突起が開かなくなる病態は

喉頭片麻痺でも同様ですが、その原因は異なります。

 

喉頭片麻痺は反回神経麻痺により、

背側輪状披裂筋が動かなくなることが原因です。

 

対して第4鰓弓欠損では、

麻痺ではなく口蓋咽頭弓が吻側へ変位することにより

披裂軟骨の動きが制限されることが原因です。

 

また、喉頭片麻痺は左側の披裂軟骨で発症することがほとんどです。

右側の喉頭片麻痺が疑われる場合は、

第4鰓弓欠損の可能性を考える必要があります。

 

UR

 

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