ウォブラー症候群~神経学的検査

ウォブラー症候群~神経学的検査

今回はウォブラー症候群の疑いがある場合に行う検査についてです。

通常の跛行診断を行ってから、神経症状を疑う場合は、以下の神経学的検査を行います。

 

1.背部および骨盤部を圧迫し、馬の反応をみる
問題のある馬は脊椎が押し下げられ、しゃがむ。

 

2.尻尾と肛門の弾力をみる
腰部や仙骨部に損傷のある馬は、尻尾や肛門が弛緩している。

 

3.皮下または皮膚感覚をみる
ボールペンの先でタッチして、皮膚や筋肉を動かすか、みる。

 

4.頸部の可動性をみる
ゆっくりと馬の鼻が肩の後ろに届くまで屈曲させる。
頸部に痛みがあると、屈曲を拒絶するか、体をねじろうとする。

 

5.肢の配置テスト
肢を反対肢とクロスさせるか、幅広い場所に置き、すぐに姿勢を戻せるかみる。
ただし、明らかな症状を呈する馬には、バランスを崩すので、行ってはいけない。

 

6.尻尾の動揺をみる(馬の引手には経験が必要)
常歩で馬の尻尾を左右から引っ張る。
問題のある馬は、簡単に引っ張られ、尻尾を離した時に過剰に矯正するか反対側に揺れる。

 

7.非常に小さい円運動をさせる
引き手が軸になって馬をまわらせる。
正常な馬は、外側前肢を内側前肢の前に出し、内側後肢を外側後肢の前に出す。
問題のある馬は、混乱して逆になったり、外側前肢を上げずに軸にして回転したりする。
また、後肢を極端に幅広く振る。
重症では、自身を踏みそうになったり、つまずいたり、倒れそうになったり、
内側肢を軸に回転したりする。

 

8.傾斜を上り下りさせる
問題のある馬は、傾斜を下る時、鎮静されたようになり、後肢の球節をナックルさせる。
傾斜を登る時は、蹄尖で歩き、蹄尖と飛節を外側に旋回させる。
頭を持ち上げて行うと、この兆候がより良くわかる。

 

9.馬を後退させる(少なくとも10歩)
試験者は横側から観察する。
問題のある馬は、後肢の遅れや、いずれかの蹄尖をひきずる。

 

10.自由運動(重症でなければ、パドックを自由に駆け回らせる)
問題のある馬は、キャンター時に後肢がウサギ跳びになり、
止まろうとする時に後方へナックルする。
軽症馬は、トロット時にアニメのような歩様になる。

 

11.跳躍(経験豊富な試験者がやわらかい足場でのみ行う)
問題のある馬は、片方の肢が地面から離れて飛ぼうとする時に、倒れそうになる。

 

12.目隠し(経験豊富な試験者がやわらかい足場でのみ行う)
脊髄に問題のある馬では、このテストはうまくいかないので、通常は行わない。
脳もしくは中耳に問題のある馬は、倒れるか傾き始める。

(equinewobblers.com、Equine Neurological Examinationより)

 

とくに、9の後退と7の円運動は、診療でよく使用しています。

 

 

 

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