馬の予防接種 〜日本脳炎ウイルス〜

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予防接種とは特定の病気にかかりづらいように、

免疫を作ることを目的として実施されます。

 

今、世界中で流行っているコロナウイルス(COVID-19)に対しても、

ワクチンが作られているのもそのためです。

 

また、馬にも予防接種があります。

 

馬インフルエンザ、日本脳炎、ゲタウイルス、破傷風などに対する予防接種が実施されていて、

日本脳炎が発生する可能性が高い時期を考慮し(蚊の発生など)、

5〜6月の時期には3種混合ワクチン(馬インフルエンザ、日本脳炎、破傷風)等を接種します。

 

今回はその中でも日本脳炎ウイルスについて書いていきましょう。

 

 

日本脳炎は法定伝染病であり、人獣共通感染症です。

 

また、その原因となるウイルスは

フラビウイルス科 フラビウイルス属 に属します。

 

日本ではコガタアカイエカによって媒介され、

蚊の唾液腺で増殖したウイルスが吸血の際に伝播されていきます。

 

馬に感染すると発熱を起こし、その後、沈鬱、興奮、麻痺などを引き起こします。

さらにひどい症状の場合は死亡する例もあります。

(チクサン出版社/馬の医学書 より)

 

なので予防接種をし、

日本脳炎ができるだけ起きないように防がなければならないのです。

 

さて今月末は、宝塚記念‼︎

みんなで競馬を盛り上げましょう!

 

K

 

ワクチン、風土病

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5-6月はワクチンの季節です。
 
5月はインフルエンザ・日本脳炎(基礎)・破傷風の3種混合ワクチン、
 
6月は日本脳炎(補強)・ゲタウイルスの2種混合ワクチンを使うことが多いです。
 
 
 
 
 
1971年、国内で馬インフルエンザが流行し、翌年に「軽種馬防疫協議会」が設立されました。
 
馬の伝染性疾病の予防・蔓延防止を目的として活動しています。
 
 
その軽種馬防疫協議会の報告によると、馬インフルエンザはフランス、オランダ、アメリカでは、2020年1-3月の間で既に発生しています。
 
 
海外からの輸入馬もみられる今、現在日本に存在しない疾病であっても、感染拡大を防ぐためにワクチンを接種することは大切なのです。
 
 
そして日本においては、馬インフルエンザは2008年以降、馬の日本脳炎は2003年以降発生していないようですが、
 
破傷風は毎年のように発生しているようです。
 
競走馬では、馬インフルエンザ以外はワクチン接種は絶対ではないのですが、日本脳炎・破傷風ともに恐ろしい病気なので、ワクチン接種をお勧めしています。
 
 
 
 
同じ報告を見ていると、「腺疫」の項目に、
 
「国際的に腺疫は多くの国で風土病である」
 
という記載がありました。
 
 
風土病とは、「特定地域に持続的に多く発生する病気。その土地特有の自然環境や生活習慣が関与する。」だそうです(三省堂 大辞林 第三版)。
 
 
 
 
腺疫は、連鎖球菌によって引き起こされる疾病です。
 
特徴的な症状は、顎下リンパ節の腫脹です。
 

(出典:腺疫(第3版)/日本畜産会)
 
 
他には、発熱、鼻汁、元気消失、リンパ節からの排膿がみられることも。
 
 
細菌感染によるものですが、抗生剤の全身投与には賛否両論があります。
 
リンパ節に膿瘍が形成された場合、その中心部にまで抗菌薬が到達しないとされているためです。
 
また、感染の進行による免疫刺激を妨げ、リンパ節肥大→破裂という病態経過を遅延させます。
 
これにより保菌馬となったり、重篤な症状を引き起こしやすくさせるとも言われています。
 
 
そのため治療としては、疼痛が強い場合には消炎剤を用いたり、温熱パックなどでリンパ節の排膿を促したりします。
 
ただし呼吸困難、高熱など重篤な症状が出た場合には抗生剤を使用することもあります。
 
 
アメリカやオーストラリアなどではワクチンが用いられていますが、日本では市販されていません。
 
また、100%感染を防ぐことはできないそう。
 
 
 
 
栗東では年に数回は診ており、また日高、関東の診療所でも治療を依頼されることはあります。
 
なので日本の、少なくともその3箇所では、それほど珍しくない疾病なのだと思います。
 
 
腺疫(第3版)(日本畜産会)によると、1992-2010年に腺疫の発生が確認されたのは北海道、福島、千葉、滋賀の4県。
 
 
ここ数年のデータが無く分からないのですが、これも風土病、と言っていいのでしょうか…?
 
単に馬の多い地域で見られているだけなのでしょうか。
 
 
 
 
 
 
 

 
遠巻きに鳩を狙うも、既に気付かれているメッシ。
 
 
 
N
 
 

たいせつな鼻のお話

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今回、はじめてブログを書かしていただきます、

当プラクティスの新人獣医師 T です。

今週は馬関係者なら日々の管理で興味を抱くであろう、鼻の話をします。

 

 

Ⅰ. ) そもそもなんで鼻が大切なのか?

 

ウマは他の動物と異なり、口腔が胃のみにつながっている。

そのため、口呼吸ができない仕組みになっている。

なので何らかの原因で鼻腔が詰まると呼吸が苦しくなってしまう。

さらに悪いケースでは辛うじて呼吸ができる状態になってしまう。

 

 

Ⅱ. ) では、鼻腔が詰まる病気ってどんなものがあるのか?

 

『蓄膿症 Empyema』

 

副鼻腔炎や上部気道炎(鼻から咽頭まで)、歯牙疾患は放置すると、

副鼻腔の細菌感染またはこの部位へ感染の波及が起こることがある。

 

このような病気を蓄膿症といい、

軽度から重度まで、病状には大きく差がでる。

 

軽度な蓄膿症の多くは膿性鼻汁がみられるが、

悪化すると鼻汁も少ししか出なくなり、それらが副鼻腔に貯留する。

また、病状の悪化と相応して、徐々に呼吸がしにくくなる。

 

ウマは私たちのように鼻をすすって分泌物を口から吐き出すことをしないのかもしれない。

 

そのため、膿が徐々に貯まり内側から鼻の構造を圧迫した結果、

外観にも変化がみられることもある。

さらには、もう一方の鼻腔も狭くなり、さらに呼吸が苦しくなる。

 

このような状態のときに頭蓋骨をコンコンとノックすると、

物をいっぱいにいれた木箱に似た音が聞こえる。

 

 

 

このように蓄膿症の診断には

おもに飼い主の稟告、レントゲン検査、内視鏡検査が有用だ。

 

治療には抗生物質を用いるが、症状を改善できない場合がある。

 

その際に選ぶ手段として円鋸術というものがある。

 

これは、外側から鼻腔に向かって骨に丸い孔をあける外科手術である。

その孔を通して繰り返し鼻道を洗浄し、貯留している膿を抜く。

 

この治療には毎日やる根気強さが必要だ。

 

 

 

最後に、飼い主がやるべきことは、

結局のところ、言わずとも、

日常管理での状態チェックが最重要項目となります。

 

鼻はウマにとって代替不可能な呼吸の部位のひとつです。

 

上記のような病気の悪化で、

飼い主も馬も精神を削る思いで病気に向き合うことにもなりかねません。

 

顔面の腫れや鼻出血などの異常がみられたら自己判断でそのままにせず、

すぐにかかりつけの獣医さんにスマホから電話相談しましょう。

 

 

その行動が大切な愛馬との健康な生活へとつながるから。

 

 

T

ウォブラー症候群~神経学的検査

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今回はウォブラー症候群の疑いがある場合に行う検査についてです。

通常の跛行診断を行ってから、神経症状を疑う場合は、以下の神経学的検査を行います。

 

1.背部および骨盤部を圧迫し、馬の反応をみる
問題のある馬は脊椎が押し下げられ、しゃがむ。

 

2.尻尾と肛門の弾力をみる
腰部や仙骨部に損傷のある馬は、尻尾や肛門が弛緩している。

 

3.皮下または皮膚感覚をみる
ボールペンの先でタッチして、皮膚や筋肉を動かすか、みる。

 

4.頸部の可動性をみる
ゆっくりと馬の鼻が肩の後ろに届くまで屈曲させる。
頸部に痛みがあると、屈曲を拒絶するか、体をねじろうとする。

 

5.肢の配置テスト
肢を反対肢とクロスさせるか、幅広い場所に置き、すぐに姿勢を戻せるかみる。
ただし、明らかな症状を呈する馬には、バランスを崩すので、行ってはいけない。

 

6.尻尾の動揺をみる(馬の引手には経験が必要)
常歩で馬の尻尾を左右から引っ張る。
問題のある馬は、簡単に引っ張られ、尻尾を離した時に過剰に矯正するか反対側に揺れる。

 

7.非常に小さい円運動をさせる
引き手が軸になって馬をまわらせる。
正常な馬は、外側前肢を内側前肢の前に出し、内側後肢を外側後肢の前に出す。
問題のある馬は、混乱して逆になったり、外側前肢を上げずに軸にして回転したりする。
また、後肢を極端に幅広く振る。
重症では、自身を踏みそうになったり、つまずいたり、倒れそうになったり、
内側肢を軸に回転したりする。

 

8.傾斜を上り下りさせる
問題のある馬は、傾斜を下る時、鎮静されたようになり、後肢の球節をナックルさせる。
傾斜を登る時は、蹄尖で歩き、蹄尖と飛節を外側に旋回させる。
頭を持ち上げて行うと、この兆候がより良くわかる。

 

9.馬を後退させる(少なくとも10歩)
試験者は横側から観察する。
問題のある馬は、後肢の遅れや、いずれかの蹄尖をひきずる。

 

10.自由運動(重症でなければ、パドックを自由に駆け回らせる)
問題のある馬は、キャンター時に後肢がウサギ跳びになり、
止まろうとする時に後方へナックルする。
軽症馬は、トロット時にアニメのような歩様になる。

 

11.跳躍(経験豊富な試験者がやわらかい足場でのみ行う)
問題のある馬は、片方の肢が地面から離れて飛ぼうとする時に、倒れそうになる。

 

12.目隠し(経験豊富な試験者がやわらかい足場でのみ行う)
脊髄に問題のある馬では、このテストはうまくいかないので、通常は行わない。
脳もしくは中耳に問題のある馬は、倒れるか傾き始める。

(equinewobblers.com、Equine Neurological Examinationより)

 

とくに、9の後退と7の円運動は、診療でよく使用しています。

 

 

 

U

虫!

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昨日・今日と、とても良い天気です。
 
 
 
しかし気温が上がってくると現れる、厄介なやつがこれ。
 
 

(画像:Wikipediaから引用)
 
これは、ブユです。
 
地域によって、ブヨ、ブトとも呼ばれます。この辺では大抵の人が、ブヨと呼んでいるようです。
 
 
 
体調は3-4mm程度。春〜秋にかけて活動します。
 
とても小さな虫ですが、彼らは吸血害虫です。
 
 
刺されると、腫れます。そしてものすごく痒いです。
 
私も最近、首・手首・足首を同日に刺されたのですが、全ての箇所の痒みが約1週間続きました。
 
周辺がパンパンに腫れることもあり、場所によっては関節を曲げるのにも痛みが伴うことも。
 
 
 
 
もちろん、馬も刺されます。
 
 
虫が体に止まると、彼らは尻尾を振って追い払うのですが、ブユは一度吸着すると、その程度では離れません。
 
また、皮膚が薄いのか、お腹の下によく止まっているため、尻尾が届かないことが多いのです。
 
そのため放牧中にお腹の下を見ると、丸々と血を吸ったブユが、びっしり付いていることも…
 
ざっと擦ると、手のひらが血で真っ赤に染まります。ぞっとしますね。
 
 
 
 
虫刺されによって蕁麻疹を引き起こすこともあります。
 

 
うっすら蕁麻疹。
 
 
これは虫刺されによる腫れなのか?蕁麻疹か?虫刺されに対する反応で引き起こされた蕁麻疹なのか?
 
と、迷うことも。
 
 
 
 
防虫スプレーも、専用のものでなければあまり効果がないそう。
 
肌の露出を避けるなど、物理的な対策が必要なようです。
 
 
 
 
 
ブユは水辺に産卵し、幼虫・蛹は水中で生息します。
 
ブユの幼虫は、水質指標では「きれいな水」に生息するとされています。なので、ブユのいる環境には、周辺にきれいな川がある、ということになります。
 
それはそれで、喜ばしいことなのですが…やはり刺されて不快なことに変わりはありません。
 
 
自然の豊富な環境に行ったり、牧場に実習に行く学生さんたちも、ハエやアブ、蚊も含めた虫対策はして行った方がいいかもしれませんね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
朝から消臭スプレーを振りまく獣医を見咎めるメッシ。
 
 

 
「それを今すぐやめるニャ」
 
 

 
「やめるニャ!!」
 
 
 
 
N
 
 
 

種子骨の骨折(尖端部の骨折)

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馬の近位種子骨は

球節の掌/底側にあるピラミッド型の小さな骨です。

 

繋靭帯や遠位種子骨靭帯などで管や繋の骨と繋がり、

常に肢にかかる大きな負荷に耐えて 球節の構造を維持しています。

 

(画像:”Adams’ Lameness in Horse” 4th ed. p83より)

 

さらに競走中フルギャロップで走ると、球節が地面に接地する程の大きな力がかかります。

 

 

このようにして種子骨が骨折することも多いのですが、図のようにいくつかのタイプに分けられます。

 

血流が悪いことなどから骨折の治癒が難しい部分であり、

また場合によっては球節の構造を維持できなくなって

予後不良という診断になるケースもあります。

 

 

中でも競走馬で最も多いのは、尖端部分の骨折(Apical fracture)です。

後肢に起こりやすいです。

 

 

予後については、

前肢よりも後肢の方が予後は良く、

内側種子骨の骨折よりも外側の種子骨の方が予後は良く、

また繋靭帯の損傷の有無にも影響されます。

 

ただしこのタイプでは骨折自体が1/3までの大きさであれば

大きさに関わらず 手術で摘出することにより、一般的には競馬復帰も可能です。

 

 

上の写真の馬は、左後肢外側近位種子骨の骨折、

繋靭帯の損傷もありましたが、手術で摘出をしていただき、現在リハビリ中です。

 

 

 

4/21に農水省から「プラスワンプロジェクト」というものが提案されました。

 

新型コロナウィルス感染拡大に伴う 休業休校により牛乳の消費量が減少していますが、

生乳生産は6月のピークに向けて増加していく時期だそうで、この時期を切り抜けるために

消費者が牛乳やヨーグルトを普段より1本多く買うことで 酪農家さんを助けようという趣旨だそうです。

 

個人的には昔々の学生時代、北海道から九州まで 全国のNOSAIさんの実習に参加させていただき、

礼儀も何も知らなかった自分を受け入れて丁寧に教えてくださり、現場で診療を見せていただきました。

 

そして何より毎日私達の食を支えてくださっている皆様には、本当に感謝しかありません。

 

微力ながらも、自分でも牛乳をガンガン購入・消費していきたいと思います!!

 

 

S