セレクトセール

Posted on Posted in d. 競走馬のセリについて, LATEST NEWS (Blog)

梅雨で、蒸し暑い時期が続いていますが、美味しいものを食べて体力つけましょう!!

 

 

7月12日〜13日に セレクトセールが実施され、

 

1歳馬、当歳馬合わせて400頭以上のセリが行われました。

 

セレクトセール の上場馬の選定は

 

実馬検査を行い、馬体と血統基準を参考に決定されます。

 

 

選び抜かれた馬のセリということもあり、今年も高額な取引が行われ、

 

2日間のセリで史上最高売上の225億円超と、大盛況となりました。

 

 

また、今年はディープインパクト産駒の最終世代の上場ということで注目され、

3億円で取引された馬もいて、期待を裏切らない形でした。

 

 

私たち獣医師はセリにて、

 

事前に提出されているレポジトリー検査(内視鏡検査およびレントゲン検査)の読影 etc を実施しています。

 

 

また、安心して馬を購入していただけるようセリ会場にてそれぞれの馬の個体評価も行なっています。

 

 

 

国内のセリにおいて、レポジトリー検査の提出が一般化され、

安心して馬を購入できる環境が整ってきていることは喜ばしいことです。

 

 

これから夏にかけて、セレクションセールやサマーセールなどのセリも行われますが、

 

注目していきたいと思います。

 

K

第4鰓弓欠損

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こんにちは!

 

北海道も暑くなってきました。

 

今回は北海道から喉の病気を紹介します!

 

 

競走馬に運動不耐性を引き起こす咽喉頭部構造異常の原因として、

第4鰓弓欠損(4BAD: 4th Branchial arch defects)というものがあります。

 

第4鰓弓は発生学的に後頭部の筋肉や軟骨組織の基となる部位です。

 

それら組織の両側性または片側性の異常発生を第4鰓弓欠損といいます。

 

第4鰓弓欠損により、口蓋咽頭弓の吻側変位などの構造異常が起こり、

その結果、喉頭の構造非対称や披裂軟骨の可動性低下を引き起こすことがあります。

 

 

左が正常な馬の喉頭で、右が第4鰓弓欠損により

口蓋咽頭弓吻側変位(矢印)が起きた馬の喉頭です。

 

右の画像では口蓋咽頭弓吻側変位により、

披裂軟骨の可動性が低下していることが確認できます。

 

(Clinical Anatomy of the Horse, 1st Edition, 2005)

 

解剖学の本で確認すると、

正常な馬では披裂軟骨(4)の尾側に口蓋咽頭弓(5)がみられます。

 

第4鰓弓欠損では、喉頭部の筋肉や軟骨組織の発生異常が起こり、

その結果口蓋咽頭弓が吻側へ変位します。

 

 

 

披裂軟骨小角突起が開かなくなる病態は

喉頭片麻痺でも同様ですが、その原因は異なります。

 

喉頭片麻痺は反回神経麻痺により、

背側輪状披裂筋が動かなくなることが原因です。

 

対して第4鰓弓欠損では、

麻痺ではなく口蓋咽頭弓が吻側へ変位することにより

披裂軟骨の動きが制限されることが原因です。

 

また、喉頭片麻痺は左側の披裂軟骨で発症することがほとんどです。

右側の喉頭片麻痺が疑われる場合は、

第4鰓弓欠損の可能性を考える必要があります。

 

UR

 

暑い、汗、、出ない

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今日は。カワタエクワインプラクティスです。

栗東も梅雨に入りました。

梅雨といえば田植えの季節。

牧場周辺の田んぼにも緑の葉っぱが綺麗に並んでいます。

 

そして、これからの季節はとにかく暑くなります。

何をするにも暑い。

そこで、みんなの暑さ対策はというと、

 

 

 

まずはイヌに聞いてみたところ、

涼しい所へ行って、お腹を冷たい地面につけることと、

ハアハアと浅く速い呼吸をすることで凌いでいるそうです。

 

 

 

 

 

 

馬はと言うと、汗をかくことで体温を下げています。

 

 

運動後のドマーニ先生。写真じゃ判りにくいのですが、水で濡らしたかのように汗をかいています。

 

 

ところが過去に、夏になるとどんなに暑くても汗をかかなくなる馬を

数頭見たことがあります。

 

この子達はおそらく無汗症になっていたと思われます。

 

馬の無汗症は原因がはっきりと解明されておらず、治療法も確立されていないようです。

そして、無汗症は汗が出ない範囲が年によって変わるようです。

 

汗をかかなくなった子達もパターンがあって、

毎年夏になると汗の出る面積が小さくなって最後は半身のみ全く汗が出なくなったり、

ある年を境に夏になると突然汗が出なくなったり、と様々でした。

 

 

そんな汗が出ない子達に共通しているのが、

午前の気温の上昇とともに呼吸が荒くなり、夜に気温が下がると呼吸は元に戻るということ。

 

暑いのに汗が出ない、というのは相当辛そうで、

暑い日の午後はよく馬体に水をかけて冷やしていました。

 

そういえば、現在では馬体冷却の効率の良い方法が研究されているようで、

馬体にシャワーをかけ続けることが早く馬体を冷却するのに良い方法だそうです。

 

 

ところで、雨の日でも厩舎の見回りを怠らないメッシさん、

 

 

 

これから暑い季節が来るけど、どうするの。

 

YK

鼻ネジ

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体重500kgを超える場合もあるサラブレッド競走馬。

 

そんな馬達はまさに全身筋肉の塊、

パワーも人間の比ではなく、

馬が本気を出したら人間が抑えられるわけはありません。

 

それでも現場では処置や治療が必要な時があります。

 

そんな時に頼れる相棒 ”鼻ネジ”を、

今日はご紹介します。

 

今使っている鼻ネジがこちら。

 

 

使い方は簡単、

鼻のこの部分を捻って掴みます。 

 

 

縄ではなくチェーンがついているタイプもあり、

縄より滑りにくいというメリットがある一方で

鼻の組織にダメージを与えやすいというデメリットもあるそうです。

 

他に捻るタイプの他に、挟むタイプもあります。

 

 

ちなみに鼻のこの部分には、

下の図のように筋肉や軟骨が存在しています。

 

(画像:家畜比較解剖図説 上巻 新編第1版 p.113)

 

(画像:家畜比較解剖図説 下巻 新編第1版 p.3)

 

 

こんなところを捻るなんて、

「鼻ネジって痛いのでは?」と思ってしまいますが…

 

鼻ネジをした後は心拍数が下がるという研究報告があったり、

また2回目以降に鼻ネジをされる馬でも嫌がる様子が見られないことから、

鼻ネジによって馬が強い痛みを感じているということは無いそうです。

 

 

具体的には以下のような効果があるとされています。

 

・頭の動きを抑制出来る

・馬の気を逸らすことが出来る

・体内でエンドルフィンが放出される(鎮痛効果等)

 

エンドルフィンが放出されるメカニズムは

はっきりとは解明されていないようですが、

 

鼻ネジによる圧が、鍼や指圧のように働いて

起きる反応であると考えられています。

 

またエンドルフィンは、

鼻ネジをしてから3−5分経過してから放出されるそうです。

 

 

普段の治療は、何もなくて処置できるケースもあれば、

「鼻ネジだけ使う」「枠場を使う」「鎮静剤を使う」「色々併用する」など

工夫が必要なケースがあります。

 

獣医師に限りませんが、

馬に関わる仕事は、危険と隣り合わせの仕事です。

 

その都度状況に合わせて最適な方法を選択し、

馬への負担が少なく、かつ安全に、

治療に当たっていきたいと思います。

 

S

 

感染性蹄骨炎

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数年前、後肢の跛行で診療した症例です。

 

繋から球節にかけて腫れ、熱感、疼痛があり、

球節と蹄のレントゲン検査を行いましたが、

明らかな異常所見は得られませんでした。

 

 

消炎剤と抗生剤で治療しましたが、

跛行は良くならず、2週間後に再検査をしたところ、

蹄骨の掌突起に透亮像がみられました(矢印)。

 

さらに診断麻酔をして、跛行の原因が蹄にあることを確認しました。

 

 

二次診療施設で精密検査をしていただいたところ、

感染性の蹄骨炎と診断されました。

 

抗生剤の局所灌流や外科的処置は必要ない程度でしたので、

抗生剤の全身投与を続けました。

 

 

その後、透亮像は徐々に埋まっていき

無事に競走馬になることが出来ました。

 

 

さて、この症例の感染経路ですが、

初診時に蹄に外傷はありませんでした。

 

ただし、球節外側になかなか治らないという古い傷がありました。

 

おそらくここから、細菌が血流にのって蹄骨にたどりつき、

感染症を起こしたと考えられます。

 

 

馬の蹄、とくに後肢の蹄は心臓から遠く、

薬が行き届きにくいです。

 

蹄に外傷がなくとも、血行性に感染性蹄骨炎は

起こることがありますので、注意が必要です。

 

 

 

UK

喉頭片麻痺について②

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前回の “喉頭片麻痺について①”  では正常な画像を用いて、記載していきましたが、

 

今回は異常な画像を用いて、検査や治療についても記載していきます。

 

 

まず、検査としては内視鏡検査を実施し、Havemeyer グレーディングシステムを用いて、評価をしています。

 

 

グレード1  左右同調、左右対称、完全な外転が可能で維持される

 

グレード2a  短時間の不同調があるが、完全な外転が可能で維持される

 

グレード2b  左右不対称を認めるが、完全な外転が可能で維持される

 

グレード3a  左右不同調かつ/あるいは左右不対称で、完全な外転が見られるが、維持できない

 

グレード3b  外転筋が衰えており、左右不対称、完全な外転が起こることがない

 

グレード3c  外転筋が重度に衰えているが、僅かに動き、左右不対称、完全な外転が起こることがない

 

グレード4  披裂軟骨と声門ヒダは完全に麻痺して動かない

 

 

というように上記の7段階のグレードで評価します。

 

そして、下の写真が喉頭片麻痺の馬です(ぼやけていてすみません)。

 

 

上記のグレード分けとしてはGrade3bと判断しました。

 

左の披裂軟骨小角突起(矢印)が右側に比べて、全開していないことがわかります。

 

治療としては外科手術が可能で喉頭形成術(tie back)が実施され、また、声帯及び声嚢切除術の併用も行われています。

 

通常、最も多く認められる術後合併症は慢性の咳嗽です。

 

これは手術で気管が開いたままの状態になるため、食渣が入り込み、慢性気管炎を引き起こすことによるものです。

 

術後50%~60%の馬で呼吸時雑音がほとんど消失するか、もしくは明らかな消失が認め、大部分の馬において気流が改善されます。

 

2回に分けて記載した喉頭片麻痺ですが、他にも喉頭部、咽頭部での疾患はありますのでまたブログにしていければと思います。

 

それではまた!!

 

K