日本ウマ科学会 第32回学術集会

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そろそろ冬も本格的になって参りました。

 

 

毎年、この時期に行われる日本ウマ科学会主催

『第32回 学術集会』へ参加しました。

 

 

そして、

今回我々の会社も症例検討会にて

 

「骨疾患に対するビスフォスフォネート製剤を用いた治療」

 

と題しまして、3症例について発表しました。

 

 

 

ビスフォスフォネート製剤(ティルドレン Tildren)について、

機序や治療方法等は以前のブログに掲載されております。

 

ティルドレンについて:

ティルドレン-tildren-について

ティルドレンについて〜その2〜

ティルドレン治療について:

ティルドレン治療の様子

ティルドレン治療の様子〜その2〜

 

 

機序が複雑な上に、

骨代謝に関与する破骨細胞の数を減らす作用があるため

適応症例など、熟考しながら使用する必要のあるティルドレン。

 

 

 

招待講師であるDr.Davidからも、

「慎重に使用していく必要がある薬品ですね」

といったような意見をいただきました。

 

私は、視聴していた側でしたが

多くの学びを得れた有意義な時間を過ごすことができました。

 

 

 

発表に携わった先生方、お疲れ様でした。

 

 

学会中、できる限りの講演を聴くことができました。

多くのことを勉強でき、自分の未熟さを痛感すると共に

とても実のある2日間となりました。

 

 

 

余談ですが、

今回の学術集会は両国での開催でした。

 

 

国技館のある両国といったら・・・

 

 

チャンコ鍋です!

 

 

先生方とお昼に食べましたが、

こんな大盛り食べられるかなと思いきや全員ペロリと完食でした。

 

 

お鍋が美味しい季節になったのかと思うと、

今年ももう終りだなと実感いたしました。

 

Y

 

変性繋靱帯炎 Degenerative suspensory ligament disease/desmitis/desmopathy (DSLD)

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先日、両後肢の球節が地面に着きそうなくらい沈んでいる馬をみました。

これは、変性繋靭帯炎(DSLD)の特徴的な症状です。

 

 

DSLDは、慢性の繋靱帯損傷によって起こります。

特徴的な球節の沈下と繋靱帯のゆるみがみられ、飛節・膝関節が真っ直ぐになってしまうこともあります。

 

繋靱帯の損傷だけでなく、屈筋腱の損傷、球節、飛節、膝関節の関節炎も起こります。

 

DSLDは両側の後肢に起こりやすく、中高齢の馬、セン馬や牝馬に起こりやすいそうです。

 

原因は、はっきりと分かっていませんが、プロテオグリカン(グリコサミノグリカンとコアタンパクが結合したタンパク質複合体)の

異常蓄積により、靭帯組織が脆弱になると考えられており、遺伝的要因もあるという見解もあります。

 

 

特徴的な球節の沈下、跛行、繋靱帯の触診痛といった症状がみられ、

エコー検査で繋靱帯や屈筋腱の損傷を確認します。

 

レントゲン検査では球節などの関節炎やリングボーンの所見が得られます。

 

こちらは上の写真の馬とは別の馬のレントゲン写真ですが

球節の関節腔が狭くなっており(左写真の矢印)、繋靱帯周辺の石灰沈着像、第1趾骨の骨増生像がみられます。

 

 

現在もDSLDの完全な治療方法はありません。

軽度から中程度の運動(1日おき)、

削蹄・装蹄(ウエッジシュー、エッグバーシュー、Fetlock Support Shoes)、

サポートブーツの装着(ただし、長期間の使用は屈筋腱のゆるみと損傷リスクを上げるとも)、

疼痛管理や関節炎の治療としてのNSAIDの使用などで管理します。

 

ただし、関節炎の治療で、PSGAG(高硫酸化グリコサミノグリカン、アデクァン)は

プロテオグリカンの異常蓄積を招くおそれがあるため、使用してはならないとする報告もあります。

 

また、サプリメントのMSM(メチルスルフォニルメタン)は結合組織の状態を改善するので

DSLDにも良い効果を表すのではという見解もあります。

 

 

この馬はサポートブーツを試してみることになっています。

より良く過ごせるように、これからも考えます。

 

 

U

インフルエンザ

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そろそろインフルエンザの流行りだす季節ですね。

 

 

馬にも「馬インフルエンザ」という病気があります。

 

これはその名の通り馬にしか感染しない疾病で、「届出伝染病」に指定されています。

 

そのためこれを発見した獣医師は、都道府県知事に届け出なければいけません。

 

 

症状としては、高熱や発咳、鼻汁などの呼吸器症状などが現れますが、対症療法・安静にする、などの処置で、2-3週間で回復するとされています。

 

ただし感染力が非常に強いため、注意が必要です。

 

また、感染すると患畜の移動ができなくなることや、蔓延するとレースが中止されることもあり、影響の大きい疾病です。

 

 

 

日本では、1971~1972年に流行。その後長らく発生しませんでしたが、2007~2008年に美浦・栗東トレセン、各地の競馬場で発生が認められました。

 

2007年8月には、二日間に渡り、中央競馬で開催予定だった全てのレースが中止になりました。

 

 

2007、2008年以降、わが国では発生していませんが、アメリカやカナダ、ヨーロッパでは未だ発生しています。

 

 

 

 

 

 

馬インフルエンザのワクチンは1年に2回、5月と11月に行うことが多く、このワクチンプログラムはJRAから推奨されており、助成金も支給されます。

 

 

ワクチンが有効とされる期間も決められており、前回接種してからあまり長く開いてしまうと、効果が消失したとされ、出走が認められなくなります。

 

普段の診療にワクチン接種も加わるため、獣医師にとっては少し忙しい時期です。

 

 

 

 

 

人間もワクチンを打って備えなければいけないのですが、病院によってはワクチンがもう品切れのところもあるようですね。

 

 

早めに行かなければ…

 

 

 

もちろんメイちゃんもワクチンを打ちます。

 

 

 

「びょうきじゃないのにちゅうしゃされた!!」

 

 

ちゃんと我慢しました。えらい。

 

 

 

 

N

 

 

 

ティルドレン治療の様子〜その2〜

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以前のブログで局所灌流(Limb perfusion)でのティルドレン治療方法を述べましたが

今回は全身投与の方を紹介します。

(局所灌流の治療はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全身投与では補液(輸液)の時に使用するような針ではなく、留置針を用います。

 

頸静脈に沿って針を刺すのは同じですが

下からでなく上から刺し(血液の流れに沿わせるため)

 

こちらもゆっくりと時間をかけて投与していきます。

 

 

全身投与だと、その名の通り全身に行き渡るため

罹患脚が2本以上あるときに、適しています。

逆に局所灌流を行う時は、脚が1本の時に実施します。

 

ティルドレンの全身投与はこのような感じです。

 

 

この子、すごい良い子でやりやすかった。

ありがとうね。

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鮭の親子丼。しかも炙り…

すごい幸せ〜

ごちそうさまでした。

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I

蹄骨の骨折

Posted on Posted in b. 診療について, LATEST NEWS (Blog)

蹄の中にある蹄骨は、

非常に大きな負荷がかかる運動によって

骨折してしまうことがあります。 

 

 

X線検査を行い骨折の仕方を判断することで、

7つのタイプに分類することができます。 

 

 

判断材料の一つとして大事なのが、

骨折線が蹄関節にかかっているかどうかという点です。

 

関節面の軟骨は一旦損傷してしまうと治癒しないために関節炎が治まらず、

跛行が続いたり 一旦症状が落ち着いても再発するなど、

元のパフォーマンス戻ることは難しいです。

 

 

馬の年齢や骨折のタイプにもよりますが、

消炎鎮痛剤の投与や装鉄療法等行いながら、

治癒には半年以上・長いと1年程かかる場合もあります。

 

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こちらは、追い切り後に突然の跛行を示した競走馬のX線検査画像。

 

前肢の蹄を負重出来ない程の強い痛みがあり、

X線検査で蹄骨の骨折を確認しました。

 

 

 

こちらは、後肢の蹄骨骨折(遠位種子骨の骨折を併発)を

発症した競走馬のX線画像。 

 

 

約7ヶ月後のX線検査では

治癒してきているのが確認できます。

 

最終的には競馬復帰までしました(ただし成績は…)。

 

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多発する自然災害、

被害に遭われた皆様には 心よりお見舞い申し上げます。

 

 

自分の身にもいつ何が起こるかわからないので

出来る備えはしておきたいと思います。

 

 

S

臍ヘルニア

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「お手入れ中、腹部に瘤のようなものを発見しました。」

と言われ、診たものがこちら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軟部組織のような感触の瘤が確認できました。

 

奥に押してみると、少し嫌がる様子。

サイズは、おおよそ5cm×5cm。

そして、腹腔内と瘤の間には数cmのヘルニア輪(亀裂)が確認されました。

 

 

この症例は、“臍ヘルニア”と考えられます。

 

 

 

臍ヘルニアとは、

閉じきらなかった臍輪に脂肪や小腸などの臓器が迷入し腹腔外に突出する疾患で、

主に新生馬に見られます。

 

原因として出生時の臍帯の損傷や過剰捻転などが挙げられます。

 

ヘルニア輪が5cm以下のヘルニアは自然に退縮することが多いとされていますが

腹腔に戻らない場合、ゴムリングの装着による整復などが推奨されます。

 

 

ヘルニア輪が5cm以上の場合は外科手術適応となり、

硬化や圧痛、疝痛 等が見られる場合は小腸の絞扼の可能性が示唆され緊急手術が必要となることがあります。

 

 

新生児に多いとされている臍ヘルニアですが、この症例は2歳齡であり自然退縮しなかったものだと思われます。

 

今回は、硬化や痛みがないこと、拡大の徴候がないことから様子見ということになりました。

今後、疼痛などの症状が見られた場合、外科も適応となると考えられます。

 

 

少し珍しい症例と出会った日となりました。

 

最近、歩いているとふと金木犀の香りがします。

本格的な秋になって参りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ紅葉が楽しみな季節ですね。

 

 

Y