馬の瞳について

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こんにちは。

今回は、馬の大きな瞳に隠された草食動物ならではの工夫について幾つかお話しします。

 

 

横長の瞳孔は馬の眼の特徴の一つと言えます。

広範囲に周囲を見渡すことのできる構造となっており、

敵の位置を素早く検知するためだとされています。

 

さらに、人の視野は、両目で約200°と言われておりますが、馬の視野はなんと約350°もあるそうです。

少し眼を動かせば、全周が把握できるということです。

 

 

写真ではっきりと写すことは難しいのですが、

馬の瞳をじっくり見ると、瞳孔の辺縁に「虹彩顆粒」と呼ばれる黒い粒があります。

光量によって縮小、拡大し、眼の中に入る光を遮ることで、

眩しい昼間でも、行動をスムーズに行うことができます。

 

 

 

また、暗闇でも素早く活動できるような仕組みもちゃんと備わっています。

脈絡膜に輝板(タペタム)と呼ばれる構造があり、光の反射板の役割を果たします。

 

 

 

射入してきた光を、眼の中で反射させることができ、その光は網膜の視細胞を刺激します。

つまり、少ない光でも増幅させることができるため、見易くなるということです。

 

この構造を持っている身近な動物がおります。

夜に猫の目が光って見えたことはありませんか?

それは、輝板に光が反射しているからなのです。

 

加えて、網膜に存在する視細胞にも特徴があり、光を最初に感知する杆状細胞が多く存在します。

これも、少ない光の中行動するための構造と言えます。

一方で、色彩に対する感度の高い錐体細胞が少ないため、色の判別は難しいとされています。

 

大きくて、キラキラしている眼は馬の好きな部位の一つでもあるのですが、

このように草食動物として生き抜くための工夫が、随所に施されている興味深い器官だと改めて感じました。

 

 

 

Y

アクシデントその後

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北海道よりアクシデントのその後、

骨折の治癒過程をお伝えいたします。

 

 

骨折の修復は以下のように進みます。

 

炎症期(骨折直後から2〜3週間)

修復期(数日後から数週間)

リモデリング期(数週間から数ヶ月・年)

 

 

では実際にはどうなったかと申しますと…

 

先月アタマに左第3中手骨を骨折。

 

2週間ほどグラスファイバーのシーネ(矢印の、アミアミに写っている)で固定。

第3関節を曲げた状態で固定しますので、

この頃は『カマキリ』と呼ばれておりました。

 

 

 

さらに2週間ほどアルミ副子(大きい矢印の)で固定。

ギプスシーネより、身軽になりました。

レントゲンでみると仮骨形成が始まっていました(小さい矢印)。

この頃には、レントゲン照射をしたり、

内視鏡の操作をしたり出来るようになりました。

 

 

その後2週間ほど人差し指と中指をくっつけてとめる

テーピングのみになりました。

 

この頃には注射がうてるようになり、

レントゲンのセンサー持ちが出来るようになりました。

(副子が邪魔で出来なかったのです。)

 

 

仮骨が骨化してきました(矢印)。

 

そして、晴れて骨折から1ヶ月半後には

テーピングもなくなり、自由になりました!

指のまたのクサクサからも開放!!

 

ただ、長期の固定で関節が固まっているので、

まだしっかりとグーが出来ませんが…

 

しっかりと(仕事しながら)リハビリしていきます。

 

 

あと、骨折してわかったこと。

 

手って思っていた以上に垢が出る。

 

 

 

U

 

 

ひと月ぶり!日高出張!!

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ひと月ぶりに北海道に帰ってきました。

 

 

今回はセプテンバーセールとオータムセールのレポジトリー撮影に毎日奔走しています。

 

 

レポジトリー検査をしていると、馬の中にも様々な性格があると感じます。

 

 

内視鏡検査の前のスキンシップの段階でその馬がどのようなリアクションを取るのかを確認し、

 

検査を慎重に行うのも重要だと感じました。

 

 

例えば、ビビリな性格だからゆっくり、おどろかせないようにすることや

 

怒ったときに立ち上がったり、蹴ったりする子もいるので、

 

その馬の行動パターンを理解し、備えていくのも大事かもしれません。

 

 

1日で10頭以上のレポジトリー検査をするので、頭も身体も疲れますが、集中して実施していきます!

 

 

仕事終わりや休みの日には温泉に行き、汗を流し疲れた体を癒やします。

 

 

北海道には美味しい海鮮や気持ちいい温泉がたくさんあるので休みの日には満喫しようと思います。

K

夏負け

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暑い時期によく聞くのが、「夏負け」という言葉。
 
 
これは簡単に言えば、夏場の高い気温による馬の体調不良です。
 
 
症状としては
 
・目や鼻の周りの毛が薄くなり、黒ずんで見える
 

(この馬は、そこまで重度ではありません)
 
・体温が高い
 
・運動後しばらく経っても呼吸が荒い
 
・異常に発汗している、もしくは全く発汗がみられない
 
・牡馬では睾丸が腫脹し、垂れ下がっている
 
・食欲が落ちる
 
 
といったものが見られます。
 
 
 
同じ厩舎で生活して、同じような運動をしていても、全くこれらの症状が出ず元気なものもいれば、少しの運動でも息が荒くなり、その状態が何日も続く馬もいます。
 
 
また、牡馬よりも牝馬の方が暑さに強い、と言われているようです。
 
 
あとは、北海道から来たばかりの2歳馬は、暑さに慣れていないためでしょうか、梅雨明け頃から夏負けの症状を見せるものが増えてくるように思います。
 
 
 
 
治療としては輸液による脱水の改善、栄養剤の投与などがありますが、それだけで完治するようなものでもないため、
 
治療でコンディションを整え、様子を見ながら運動させ、暑さに適応してくれるのを待つ…という感じです。
 
 
 
 
 
JRAのトレーニングセンターでは、厩舎にエアコンが設置されているようですが、外の牧場ではまだまだ難しいのだと思います。
 
 
 
 
そのため牧場では、馬のためにいろいろな暑さ対策をしています。
 
 
 
運動後は馬体に水をかけて冷やしたり、
 
 
こういったミストシャワーを取り付けたり、
 

 
 
ミスト付きの扇風機をつけたり、
 

 
 
厩舎の屋根に散水用のホースを取り付け、上から冷やしたり、など。
 

 

(見えにくいですが、水滴が屋根から落ちてきています)
 
 
あとは、発汗によって失われた分を補うために、飼料に電解質を多めに加えるといったことも。
 

 
 
 
 
 
もう9月。早く涼しくなってくれればいいのですが、残暑はまだまだ厳しいようです。
 
 
 
 
 
 

 
いっちょまえに、馬房に2台も扇風機をつけてもらったメイちゃん。
 
 
 
 
 
N
 
 

ヒザコゾウの話

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今日はヒザコゾウについてのお話。

 

馬の膝はこの部分、

 

 

膝関節は、大腿骨・脛骨・膝蓋骨からなり、

 

 

大腿四頭筋が大腿骨と膝蓋骨を、

膝蓋靱帯が膝蓋骨と脛骨を、

それぞれ繋いでいます。

 

 

 

膝関節が屈曲したり伸展したりする時、

膝蓋骨は大腿骨の滑車溝という部分を滑るように動きます。

 

 

後肢に体重をかけると 膝関節は一定の角度に伸展しますが、

この時 膝蓋骨は大腿骨滑車の近位に移動し、

下の図のように引っかかって ロックされたような状態となります。

 

(画像:「馬の跛行 -その原因、症状及び治療- 」p.176より)

 

(画像:Manual of Equine Field Surgery p.77より)

 

 

そもそも膝関節・飛節を含む後肢の関節は、

第三腓骨筋や浅屈腱等から構成される

相反合同装置 / 相互機構と呼ばれる構造によって合同的に動くため、

 

(画像:「馬の跛行 -その原因、症状及び治療- 」p.162より)

 

 

膝蓋骨がロックされることで 後肢全体の動きがロックされた状態となり、

これにより馬は筋肉の疲労を最小限にとどめたまま、

立った姿勢を保つことが出来るのです。

 

 

元々馬は自然界で捕食される側の動物であったため、

効率良く後肢を休ませることができるように、

このような構造・機能を獲得したと考えられています。

 

 

「なんて便利な肢なんだろう!」と思いきや、

このロックが上手く外れない状態になる 膝蓋骨上方固定という疾患も存在します。

 

 

何事もほどほどが良いですね。

 

 

夏の気温も32℃位までだと過ごしやすいと感じる今日この頃です。

 

 

S

 

獣医になってはじめての見学

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今週は、当院が関わっている馬が喉頭蓋背方変位(DDSP: Dorsal Displacement of the Soft Palate)の

手術を行うということで、NOSAIみなみの家畜高度医療センターへ見学に行きました。

 

 

 

 

DDSPについて簡単に説明すると、喉頭蓋が軟口蓋の腹側に変位するものです。

 

 

この状態になると正常な呼吸を妨げ、呼気時に「ゴロゴロ」や「ブルブル」のようなノド鳴りが起こります。

 

健常な馬でも首を頭側に伸ばした際にDDSPが誘発されることは頻繁にあります。

 

ですが、運動時や首を曲げた状態でも頻発している場合には、運動不耐性や呼吸困難を生じる喘鳴症の原因となります。

 

DDSPが正常な運動を妨げるのであれば舌縛りなどの対策、さらには重度であれば手術を考慮する必要があります。

 

 

そして、今回の手術内容は、喉頭タイフォワード手術(Laryngeal Tie-Forward Procedure)と喉頭ヒダ切除術でした。

 

喉頭タイフォワード手術は、喉頭蓋が腹側へ落ちるのを防ぐ目的で行われます。

 

甲状軟骨と舌骨底骨に縫合糸を架け、喉頭蓋を頭背側へ押し出すような力作用を加わえるものです。

 

(AUER&STICK EQUINE SURGERY FOURTH EDITION.  P.584, FIGURE 44-24)

 

 

 

 

当院は一次診療施設なので、普段は手術を見る・実施することはありません。

 

今回の見学では、センターの先生方との多面的な会話によって知見を広げることができました。

 

 

私は学生時代、学外実習をするときに必ず守ってきたことは「問題解決のための質問をする」ということです。

 

獣医療に関するただの質問のほとんどは教科書に書いてあるので、聞く側も答える側も退屈でしかありません。

 

ですが、疑問に思ったことに対し、まずは思考して自分の中で仮の結論を出してから質問をする。

 

そうすることで会話が広がり、ちょっとしたディスカッションになります。

 

この学生時代からのクセは社会人になっても役に立つことを今回実感しました。

 

 

 

 

学生の皆様にもこのマインドセットを持つことをおすすめします。

 

 

獣医師は生涯勉強じゃき!

 

 

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