クッシング病(下垂体中葉機能不全 PPID)-その2-

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クッシング病の続きです。

(前回までのお話は、クッシング病-その1-参照)

クッシング

 

治療法は、

まず外科的治療は 馬では一般的ではありません。

 

次に 内科治療として、

ドパミン受容体作動薬である

ペルゴリドの投薬が 行われる場合もあります。

 

その他の対策として、

まずは餌の管理。

 

炭水化物には、

非構造性炭水化物 と 構造性炭水化物の2種類があります。

 

クッシング病の場合

インスリン抵抗性になっているケースが多いため、

非構造性炭水化物(以下NSC)の割合が

低い方が良いとされています。

 

例えば、

麦・大麦・トウモロコシ や 米ぬかは NSCが高く、

 

また乾草の場合、イネ科はNSCが高く

アルファルファはNSCが低いそうです。
またクッシング病専用の飼料も

割高ではありますが

日本でも一部販売されているようです。

 

NSCの低い飼料を少量頻回給餌にしたり、

ゆっくりかつ自由に 食べられるようにしてあげましょう。

 

 

またストレスをかけないことも大事です。

 

運動制限は必ずしも必要ありませんが、

筋肉の萎縮などでストレスを感じやすくなっている可能性も考慮して、

あまり無理はさせない方が良いでしょう。

 

 

他にも

蹄葉炎のリスクが高いため 削蹄と改装、

及び 駆虫や整歯も 定期的に行い、

日々状態を気をつけて観察するようにしましょう。

 
何か気になる症状の馬がいましたら、ご相談ください。

 

 

S

 

狼歯(やせ歯)

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今回は12月頃によく見る狼歯(やせ歯)について書いていきます。

 

そもそも馬の歯は「切歯」「犬歯」「臼歯」がありまして、臼歯には前臼歯と後臼歯に分かれています。

 

歯式として 牡では I 3/3 C 1/1 P 3~4/3 M 3/3 の 40~42本

 

牝馬は I3/3 C 0/0 P 3~4/3 M3/3 の 36~38本 と言われております。

 

 

 

 

国家試験勉強の時にゴロで「みい耳」「みお耳」となんと分けも分からない語呂で覚えた記憶があります。

歯式は解剖学でちょこちょこ出てきたのと、

あとは身体の中で一番硬いところはどこでしょう。な問題で骨じゃなくて、歯のエナメル質!!!など言っていました。

 

 

牡は犬歯があるため、牝馬より数が多いとされています。

またP(前臼歯)に3~4と差があるのは、個体差で狼歯というものが前臼歯の前方のところに生えてくるからです。

 

くち

 

 

 

 

 

 

 

 

見にくいのですが写真の右上のところに見えるのが狼歯です。

 

海外でも狼歯はWolf toothというらしいです。

狼の歯みたいだからなんですかね?

 

歯科機器を使ってころんと抜いていきます。

 

狼歯(やせ歯)は両側に生えていたり片方にしか生えていなかったり様々なので、抜歯の前に確認をします。

また狼歯は生後6ヶ月以降に生えてくるとされ、馴致の時に必要となるハミ受けにかかわるため

この狼歯がでてくると抜いてしまうところが多いです。

 

そもそも馬には歯槽間縁という歯がない空洞があることで、ハミをつけられる構造になっています。

なのでこの部分に手を入れて口を開けさせたりします。

意固地になって意地でも口を開けさせないようにする子はいるので…

どーん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこれが写真の子の狼歯です。

歯の大きさは様々で

 

大きい歯

 

 

 

 

 

 

 

このように同じ馬でも左右の狼歯の大きさが違ったり、長い歯根があったり

 

ちっちゃい歯

 

 

 

 

 

 

 

すごくちっちゃな狼歯であったり

 

ごつい歯

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとごつめで、でも狼歯が片方しかない馬など様々です。

 

※写真では2頭分の狼歯になります。

 

 

 

こうして歯を抜いたり歯すりをすると本当に筋トレになりますよ。

良い運動をさせて頂いております。

 

I

 

 

 

 

 

 

 

第二中足骨の骨折

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足を骨折した馬がいるので、検査しに行きました。

 

見ると、管の内側がぽこっと腫れていました。

 

レントゲンを撮ってみると…

 

LH4-1 (1)

 

 

 

 

 

 

 

 

骨が盛り上がっているのが分かります。

 

もう一枚、今度は斜めから…

LH4-4 (1)

 

 

 

 

 

 

 

 

骨折線が見えました。

 

実際の肢だと、大体この辺になります(矢印)。

(写真は別の馬の肢です)

IMG_2575

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管の部分の骨は、このような構造になっています。

SCN_0001

 

 

 

 

 

 

 

(出典:家畜比較解剖図説 上巻 加瀬嘉太郎/著 養賢堂版)

 

 

今回骨折が分かったのは、内側にある第二中足骨。

 

この部分は人間でいうと人差し指に当たります。

馬では上の図のようにかなり退化しており、この骨はほとんど体重を支えていません。

 

 

そのため痛みが強かったり、骨折した部分が靭帯に当たったりしていなければ、

炎症が治って少しの休養で、競走に復帰できます。

 

この馬も手術はせず、休養後に運動を進めていくことになりそうです。

 

 

人も動物も使わない器官は退化し、必要な器官はより発達していきます。

 

100年後の馬や私たちは、今とは違う姿になっているのでしょうか?

 

 

 

 

N

 

じんましん

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ご無沙汰の北海道日高から、蕁麻疹(じんましん)についての話題をお届けします。

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蕁麻疹は、大小様々な大きさで、表面が平らな発疹です。

発疹同士がくっついて、大きくなることもあります。

顔全体が浮腫んだり、発熱、呼吸困難など、重症になることもあります。

 

抗原抗体反応により末梢毛細血管の透過性亢進がおこり、

血漿が組織内へ流出するために生じる、アレルギー性疾患です。

 

発生・治癒ともに急性で、一過性ですが、慢性になることもあります。

 

原因は、草や虫、ホコリ、飼料、薬などの刺激、気温の急変など。

その他、感染症や胃腸の変調などの体調不良時、

ストレスがかかっているときにも起こりやすいです。

 

治療は、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤を使用します。

胃腸を整えるために整腸剤をあげることもあります。

 

原因物質の除去が、第一になりますが、

馬などの動物の場合、難しいこともあります。

 

馬房や放牧地、飼料や敷料を変えてみたりしますが、

全てを取り除くことは出来ません。

 

この症例は、全身にポツポツと蕁麻疹が発症しました。

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薬で一時的によくなりますが、薬をやめると再発し、それの繰り返しでした。

 

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最初は後肢だけでしたので、何かに接触したためと考え、

馬房を変えてみましたが効果がありませんでした。

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そのうち、少し強い運動をした翌日に蕁麻疹がでることがわかり、

そのストレスによるものではないかと考えられました。

 

しかし、競走馬ですから、運動を全くしないわけにもいきません。

 

整腸剤、抗ヒスタミン剤を治療開始から3ヶ月近く続けて、

ようやく薬をやめても蕁麻疹がでなくなりました。

 

すぐに治るものがほとんどですが、

長期治療が必要だった蕁麻疹でした。

 

U

クッシング病(下垂体中葉機能不全 PPID)-その1-

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育成馬や現役競走馬の診療では

約8割が運動器疾患とされていますが、

今日はそれ以外のお話。

 

クッシング

 

この写真の馬は

「ほんの少量だけど 鼻血が出た、元気も無い。

体調が良く無いようなので、ちょっと見て欲しい」

と相談を受けた24歳 サラ乗馬。

 

一年中 全身の毛がモコモコ状態、

年齢もあるかもしれませんが 筋肉も落ちてきており、

また蹄の状態もあまり良くありませんでした。

 

種々検査を行い、

最終的にはデキサメタゾン抑制試験で

クッシング病と診断しました。

(3月検査, postコルチゾール値:1.4μg/dl)

 

 

犬などで多く見られるクッシング症候群は

(獣医学生なら 必ず勉強するいわば王道の疾患ですが)

この疾患は馬でも見られます。

 

これは副腎からのコルチゾールの分泌が増えることによって起こりますが、

 

馬では ほぼ下垂体性のため、クッシング症候群ではなく、

クッシング病 Cushing Disease や

下垂体中葉機能不全 Pituitary Pars Intermedia Dysfunction: PPID

と呼びます。

 

炭水化物の多い食餌や身体的ストレスによって、

ホルモンバランスの不均衡が起こることが要因だそうです。

 

馬の場合の主な症状は多毛、

「多毛の症状だけで クッシング病を疑っても良い」

と書いてある資料もあるくらいです。

 

これは発育期の毛包が

極端に多くなることによって起こります。

 

長くボサボサ被毛で、

また巻き毛状になることもあるそうです。

 

その他の症状は

換毛異常、多飲多尿、体重減少、筋萎縮、腹部下垂、

多汗、蹄葉炎、易感染性、創傷治癒の遅延、繁殖障害など。

 

20歳以上の高齢馬に多く、性差はないとされています。

 

検査方法は、

・ACTH濃度測定

・デキサメタゾン抑制試験

・デキサメタゾン抑制・甲状腺刺激ホルモン複合試験

です。

 

治療や対処法など、続きは次回。

 

 

往診でたまに通る千葉県栗源(くりもと)、

ここはさつまいもの栽培が盛んで

毎年 “いも祭り”が開催されるほどです。

 

この時期のお昼ごはん、

たまに 焼き芋です。

 

いろいろな種類がありますが、

私のおすすめは、シルクスイート!

 

いも

 

S

 

学会参加

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ご無沙汰しているうちに

あっという間に師走に入ってしまいました。

 

今年度ブログ更新が滞りがちでしたが、

またちょこちょこアップしたいと思っておりますので

覗きに来ていただけると嬉しいです。

 

さて毎年この時期に開催される JRA調査研究会・ウマ科学会、

今年は私Sも参加させていただきました。

 

今年の日程的に

AAEPに参加される先生方もいらっしゃったようですが、

実際 参加者も多く大変賑わっていた印象でした!

 

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毎回 とても興味深い発表ばかりで、

新しい知見を増やしたり、

普段自分の行っている診療内容を見つめ直すなど、

貴重な機会だと いつも楽しみに参加しています。

 

ちなみに今回症例検討会では

馬の新生子内科疾患がテーマでした。

 

普段現役競走馬を中心に診療を行っており

繁殖に関する私の経験・知識は

恥ずかしながらゼロなのですが、

 

ご発表された内容はもちろんのこと、

繁殖に携わる諸先生方の思いや姿勢なども垣間見たような気がして、

聴講させていただいて、とても心を打たれました。。。

 

今回の学会の内容に関しては、

社内獣医師間で情報共有のため

これから 報告用まとめ作業に入りたいと思います!!

 

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S