舌の話

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こんな風にあっかんベーをしている馬をたまに見かけます。

 

 

舌を出しているだけで、なんだか表情が違って見える気がします。

今日はそんな身近な舌について、改めて考えてみたいと思います。

 

 

一言で舌といっても、解剖学的には、

・先端の遊離部である「舌尖」

・舌骨に付着する「舌根」

・舌先と舌骨の間の「舌体」

・舌体で硬口蓋に面し”舌隆起”がある「舌背」

の4つに大きく区別されます。

 

(画像:家畜比較解剖図説 上巻 新編第1版 P211より)

 

 

また舌筋は

・舌固有の筋肉である「固有舌筋」

・舌以外に起こり舌に終始する「外舌筋」

・舌以外に起こり舌骨に終始する「舌骨筋」

に分けられます。

 

 

神経は、知覚繊維と運動繊維の混じった混合繊維である三叉神経が枝分かれして、

さらに下顎神経 > 舌神経に分かれていって 舌に分布します。

 

(画像:家畜比較解剖図説 下巻 新編第1版 P261より)

 

 

表面には「舌乳頭」と呼ばれる組織が存在していて

触ると少しザラっとしていますが、

ここは咀嚼の際に機会的な役割を果たしたり、

味覚を感じる器官が存在しています。

 

 

舌の主な役割は、

・味覚 / 触覚 / 痛覚 / 温度感覚など感覚器官としての役割

・咀嚼や嚥下を促す役割

他にも、仔馬の時にはお乳飲むのに役立つし、

唾液とともに歯を清潔に保つ働きもしていると考えられています。

 

 

馬が舌を損傷するのは、

舌縛り・歯・異物によって起きることもあるとされますが、

最も多いのはハミで舌を切ってしまうケースです。

 

 

舌の表面に部分的な欠損が起きると、

欠損部分にハミが引っかかっていわゆるハミ受けに影響したり、

舌が歯列に対して曲がってしまうため歯によって二次的な受傷することもあります。

よく動く口唇や切歯があるため、食べるという動作には大きな影響は無いそうです。

 

 

裂傷の場合、前方の背側部分に起きることが多いのですが、

血管や神経は腹側1/2を走行しており、

血液供給が問題となることも少ないため、

かなり大きく切れてしまう場合でも処置せず治癒することも多いです。

 

ただし深さが舌の30%を超える裂創の場合は、縫合が必要です。

 

 

下の写真は、昨年度の公営競馬獣医師協会主催の生涯研修で、

N先生が舌の縫合練習を行なっているところです。

 

研修では、スパイナル針を用いた下顎神経ブロックや、

裂傷の縫合(特に垂直マットレスが重要!)といった外科的な手技を学びました。

 

 

ところで、昨年度の生涯研修の頃を思い返してみると、

世界は色々なことが大きく変わったなあとしみじみ思います。

 

マスクをつけていない人の方が多かったり、移動も自由にしていたり、

ソーシャルディスタンスなんて気にせず人が集まることができました。

 

 

もう戻れない懐かしいあの頃です。

 

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