変性繋靱帯炎 Degenerative suspensory ligament disease/desmitis/desmopathy (DSLD)

Posted on Posted in b. 診療について, LATEST NEWS (Blog)

先日、両後肢の球節が地面に着きそうなくらい沈んでいる馬をみました。

これは、変性繋靭帯炎(DSLD)の特徴的な症状です。

 

 

DSLDは、慢性の繋靱帯損傷によって起こります。

特徴的な球節の沈下と繋靱帯のゆるみがみられ、飛節・膝関節が真っ直ぐになってしまうこともあります。

 

繋靱帯の損傷だけでなく、屈筋腱の損傷、球節、飛節、膝関節の関節炎も起こります。

 

DSLDは両側の後肢に起こりやすく、中高齢の馬、セン馬や牝馬に起こりやすいそうです。

 

原因は、はっきりと分かっていませんが、プロテオグリカン(グリコサミノグリカンとコアタンパクが結合したタンパク質複合体)の

異常蓄積により、靭帯組織が脆弱になると考えられており、遺伝的要因もあるという見解もあります。

 

 

特徴的な球節の沈下、跛行、繋靱帯の触診痛といった症状がみられ、

エコー検査で繋靱帯や屈筋腱の損傷を確認します。

 

レントゲン検査では球節などの関節炎やリングボーンの所見が得られます。

 

こちらは上の写真の馬とは別の馬のレントゲン写真ですが

球節の関節腔が狭くなっており(左写真の矢印)、繋靱帯周辺の石灰沈着像、第1趾骨の骨増生像がみられます。

 

 

現在もDSLDの完全な治療方法はありません。

軽度から中程度の運動(1日おき)、

削蹄・装蹄(ウエッジシュー、エッグバーシュー、Fetlock Support Shoes)、

サポートブーツの装着(ただし、長期間の使用は屈筋腱のゆるみと損傷リスクを上げるとも)、

疼痛管理や関節炎の治療としてのNSAIDの使用などで管理します。

 

ただし、関節炎の治療で、PSGAG(高硫酸化グリコサミノグリカン、アデクァン)は

プロテオグリカンの異常蓄積を招くおそれがあるため、使用してはならないとする報告もあります。

 

また、サプリメントのMSM(メチルスルフォニルメタン)は結合組織の状態を改善するので

DSLDにも良い効果を表すのではという見解もあります。

 

 

この馬はサポートブーツを試してみることになっています。

より良く過ごせるように、これからも考えます。

 

 

U