仕事道具

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馬の獣医の仕事道具には、いろいろなものがありますが
 
よく出番があるものの一つが、これ。
 

 
蹄鉗子(ていかんし)です。
 
 
これは何に使うかというと、馬の蹄を挟んで、痛みがないかをチェックするものです。
 

 
このように肢を人の足で挟んで固定し、蹄鉗子で圧痛をチェックします。
 
 
ちなみに後肢の場合は、馬の肢を膝で挟むのではなく、腿の上に置いて保定します。
 
 
獣医だけでなく、装蹄師もこれを使います。
 
皮膚であれば腫れたり、痛みのある箇所に熱を持ったりしますが、蹄は固く、炎症部位が分かりにくいことも多いです。
 
そのためこの蹄鉗子で場所を変えて圧迫することで、痛みのある場所を特定できます。
 

 
蹄底の圧迫。
 
 

 
蹄叉の圧迫。
 
 
 
蹄鉗子はよく、挫跖(ざせき)の診断に使われます。
 
挫跖とは、馬が石などの硬いものを踏んだどきに、蹄底が圧迫され、炎症が起きてしまうことです。
 
蹄の内部で出血し、化膿してしまうこともあります。
 
騎乗していて、あれっ?と思ったら急に跛行して、蹄に熱を持ったり、繋に触知できる指動脈の拍動が亢進している、という場合、挫跖であることが多いです。
 
馬はあの小さい蹄で約500kgもの体重を支えているため、挫跖などで蹄に炎症が起きた場合、重度の跛行を示すこともよくあります。
 
そういったときに、この蹄鉗子を使って、蹄の痛みを調べます。
 
 
 
ただし蹄の痛みをもたらすのは挫跖だけでなく、蹄葉炎、蹄底膿瘍、蹄骨の骨折などの可能性もあります。
 
痛みが顕著であったり、消炎剤を投与しても痛みがあまり引かない場合にはレントゲン等の検査をして、異常が無いか調べます。
 
 
 
この蹄鉗子試験をする上で気をつけなければならないのは、馬が痛みを感じたときに、強く肢を引き抜こうとしたり、飛び上がったりすることもあります。
 
そんな場合に備えて、蹄の保定はあまり強固にし過ぎず、危ない場合には肢を抜けるような状態にしておきます。
 
暴れた馬に足を踏まれた場合には、こちらが大怪我をすることにもなりかねません。
 
 
正しい診断・治療のためには、視診・触診だけでなく、こういった道具を適切に使っていくこと、そして自分が怪我をしないこともとても大事なのです。
 
 
 
 
 

 
餌を要求するメッシ。
 
 
 

 
もらえなくて怒りの爪研ぎ。
 
 
 
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