厩務員さんから、
「昨日はなんともなかったんだけど、今朝見たら腫れていて・・・
目立った傷もないんだけどな」
と聞き、往診へ向かうと、
※写真だと症状がわかりにくく、申し訳ありません。
外傷による炎症である場合、
腫脹は傷から波及するように広がるケースが多くみられますが、
この症例では、外傷は見当たりませんが、
繋〜飛節まで重度の腫脹がみられます。
かろうじて着地はできるものの、負荷を嫌がる様子です。
少し触っただけでも、酷く嫌がる様子。
熱感もみられます。
こんな症状が見られる場合、
『フレグモーネ』を疑います。
蜂窩織炎と同意義です。
つまり、
皮下組織の急性化膿性炎症です。
詳しく病理学的に説明すると、
「蜂窩織炎」とは、
化膿性炎(多数の好中球の浸潤)の分類の中で、
皮下組織などの比較的疎な結合組織に起こりやすく、
好中球が組織間をびまん性に広がり、
細胞間の融解、細胞壊死を伴うものとされています。
つまり、
外傷などによる炎症とは、
所見が異なる上に、
病理学的にも区別されるものなのです。
原因として、ブドウ球菌などの常在菌による感染が考えられます。
四肢の下部に好発し、
症状として、
発熱、急性の跛行、患部の著しい腫脹、触診痛 等があります。
外傷による炎症性腫脹から、急に重篤化しフレグモーネへとなることもあり、
腫脹している部分から自壊し、排膿する場合や、
皮下で起こっている炎症が関節、腱鞘内に波及すること
等もあり、治癒後に障害が残る可能性のある疾患です。
患部の炎症の拡大が速く、重篤になりやすいため、抗菌薬による治療を直ちに開始する必要があります。
痛みが強い場合は消炎鎮痛剤の投与が推奨されます。
また、抗生剤の効果が確認できた後のステロイドの投与は、腫脹の軽減に有効とされています。
しかし、免疫を低下させるため再感染には十分注意する必要があります。
痛みが軽減してきたら、曳き運動を行うことでいち早く浮腫を軽減させることができます。
治療が長期になると、治癒後に浮腫や皮膚の肥厚が残る可能性があります。
また、
フレグモーネが治癒することなく、再感染を繰り返すと、
循環障害へ移行したり、慢性化し根治不可能になる場合もあります。
患部の症状が引いても、慎重に経過をみていく必要があります。
さて、
タンポポはフランス語で「ダンデライオン」と呼ばれます。
黄色くて、ライオンのタテガミみたい・・・
ではなく、
葉がライオンの歯の様だから、
ライオンの歯という意味の「ダンデライオン」なんだそうです。
競馬場にも、もうそこまで春が来ているみたいです。
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